6月15日
草木も眠る丑三つ時から50分くらい過ぎた頃
海の家の玄関口に立って自殺岩場の方に視線を向けたら
断崖の下の海面が赤く照らされていた
パトカーと救急車のランプのようだ
水死体の引き上げ作業かな?
2日前の13日の金曜日は
なんかハニー☆ムーンとかなんとか言うアレで
月が地球にかなり近づいてアレしたらしい
そんなのもあって
まさかの梅雨時期なのに なみがそこそこ高い
きっと月が頑張って海面を引っ張ったんだろう
ですから
陸に引き揚げるの大変だろうな・・・
などと考えながらウツラウツラとしていたら
窓の外から途切れ途切れに救助隊の人らの声が聞こえた
『 そっち波かぶるぞー! 』
とか
互いに自分の位置を確認しあう掛け声とかも聞こえた
ここから自殺岩場までは
そこそこ距離はあると思ってたけど
まだ五月蝿い夏の虫も少ない深夜だと
けっこうこっちまで人の声って聞こえるんだな
そして
自律神経しっちょうそ・・・
自律神経しっちょうしょう!
の俺は
結局、朝の午前5時過ぎまでボンヤリとしたまま布団に横たわってたんだけど
それくらいの時間に救急車がサイレン鳴らして自殺岩場から離れて行く音が聞こえたから
もしかしたら死んでなかったのかも知れない
噂ではアレだ
なんか遺書とか現場に残されていると
新聞に載りにくいらしいな
ここで自分の意志で自殺しましたと言う明確なアレがある場合は
事故の線が薄いと言う事で
個人の名誉をアレすると言う噂だ
海への飛び込み自殺って
どう考えても水がクッションになってしまうと思うけど
どうせ死ぬなら確実に地面でクラッシュする山の断崖とかで飛んだほうが確実と思うんだけど
なんで自殺岩場かな?
やっぱり先に死んだ人が沢山居るから
そういうので自殺岩場を選ぶんかな?
もしそうだったら不思議だ
自殺する人なんか人間に裏切られたり愛想尽かされたり
だいたい自分も含めて人間を嫌いになってしまった人がするもんだと思うんだけど
先に死んだ人間が居る場所を選びたがるようだ
俺も昔とは考え方が変わって
生きてるのが死ぬよりも辛いなら
べつに死んでもいいんじゃないの?と思うようになった
家庭環境とか色々と地獄な人も居るだろうし
人間は生まれる場所は選べないけど
自分の意志で死ねる時間と場所は少なからず選べるつうのは
そこから自分の意志で逃げられるつうのは
まあ、アレだなぁー と、思う
ほんとにもう、なにやっても楽しくない
楽しいと感じられない
ただただ毎日が空っぽで苦痛としか思えない
そういう人は死なせてあげるのもアレだと思う
ということなんだけど
自殺岩場は止めてあげて
波が高いのに真っ暗な中
明方まで救助活動しなきゃならない人達の事も考えてあげて。