10月15日
シロクンは8月の終わりの発情期に
どこかの猫と大喧嘩して
左耳の付け根付近に大怪我を負った
9月から 10月中頃の今まで その怪我が なかなか治らないでいる
患部が酷く膿んでいるのです
口内にとんでもないバイ菌を保持している相手と戦ったのか
相手の牙が突き刺さって それが皮膚の中で折れて残ってるのかも知れない
とにかく
9月の間、その怪我は酷い状態で
風上風下で多少は変わるが
シロクンから3メートルくらい離れていても仰け反るくらい強烈な悪臭を放っていた
魚などが腐った臭いも厳しいモノがあるけど
哺乳類の皮膚が壊死した臭いというのは
かなり強烈なモノがあるんだよ
もう、鼻の穴の中の粘膜に こびり付くような臭いなんだよな
哺乳類の蛋白質が腐れている特有の臭いつうのは
そうだな、もう、死臭と言ってもいいくらいの悪臭を放っていた
臭覚の弱い人間の俺にでさえ本能に訴えかけてくるような臭いだったんだ
いまのシロクンに近づくと 《 もらうぞ 》ということ
とんでもなく厄介な病気をもらってしまうぞ
近づいては駄目だ という本能的な恐怖を感じるくらいの腐臭だったんだよ
ようするに
シロクンは もののけ姫で言う タタリ神 状態だったんだよ
ということで
とにかくシロクンは大変な状態だった
しかしながら
少しずつ少しずつ地道に治癒はしていっているようだし
食欲もあるし体もふらつくような歩き方でなし しっかり歩いているし
きっと空気も乾燥してくる11月頃には傷の状態も良くなっていくものと願う
ということで
今日10月15日
シロクンに会いに行ったんだけど
前の週よりか剥がれ落ちて露出していた皮膚の面積が小さくなっていた
血の混じった膿の量も減ってきたように思う
それで
いつもみたくシロクンに腹いっぱい猫メシ食わせて
いっぱい食べて元気出して早く傷を治すんだぞ
つって
最後にカリカリを少量 地面に置いて
それをシロクンがカリカリしている間に
その場を後にしたんだけど
トンネルの真ん中辺りまで歩いたところで
今まで聞いた事ないくらいの大猫声で呼び止められた
シロクンのやつ
精一杯の声で俺のこと呼び止めやがった
そりゃあトンネルの中だから声が反響して大きく聞こえるのもあるだろうけど
ほんとに
今までシロクンのこんな大声を聞いた事ないくらいの
にゃーーーーーおう!
にゃーーーーーーーーーーううん!
という必死な声に俺はびっくりして振り返ったんだよな
どうしたよ!? シロクン!?
トンネルは車が通ると危ないだろ!
ということで
慌ててシロクンを引き連れてトンネルから出たんだよ
それで
シロクンが落ち着つくようにシロクンの背中を撫でたげたよ
シロクンは俺を頼ったのかな
俺にもう少し一緒に居て欲しいと思って
あんなに必死な声で呼び止めたのかな
なんていうか、もう、泣けてきちゃったよオイサンは
大丈夫だろ シロクンは
それくらいの傷で死ぬようなタマじゃないだろシロクン?
秋なんか早足で過ぎ去るからな
そうしたらすぐに寒い寒い冬がきますよねシロクン
そうしたらまた俺の膝の上で眠るんだろシロクン
そんなゾンビ臭いままのシロクンなんか膝に乗せないからな
だから早くそんな傷なんか完治させちゃえよ
たのむぞシロクン
もしも本格的に駄目そうなら洗濯ネットで絡みとって動物病院だぞシロクン。