6月22日
漁具小屋裏のベンチにて
ちゃんと周りを見張っているか? と俺を見張るシロクン
いやいや
俺はちゃんと見張ってるよ
おまうのほうはどうなんだよシロクンよお
自分だけ見張るのサボりやがってよう
なんだよ反抗的な態度だなーシロクンよー
爪を出した落とし前はどうやってつけるつもりだようシロクンよお
えへへ・・・ かわいい
そして
やっとシロクンはヤル気を出してくれた
俺の動体視力と反射神経を鍛えてくれるぞ
さあ・・・ どこからでもかかってくるがよい・・・ というシロクン
あぶねっ! シロクンの最初の左フックはスカだぜ!
そうすると
シロクン師匠はゆっくりと両方の瞼を閉じる
『 オレはいま、38がみえない、どこからでもオレのおなかをつつくがよい 』
みたいな誘い込みの構えなの
でも、実はコレ、シロクンの常套手段なの
こうやってしなっと薄目で見てるの!
俺が素人だったなら
これはチャンス!と思い手を伸ばすだろうが
シロクンはズルイ猫だから!
こうやってしなっと薄目で見てるの!
ほらーーーっ! 左フック飛んできたーーーーーーーーっ!
猫は緩急つけた攻撃が上手いね
もし本気でやられたら俺の手なんかすぐにズタズタになってしまうだろうな
シロクンの優しいところは
俺がしくじったとしても
猫爪が皮膚に食い込む瞬間に爪を引っ込めてくれる
だから血も滲まないくらい薄い引っ掻き傷しか残らない
または肉球の感触しか残らない
るろうに剣心みたいな猫だなシロクンは。